出生前診断その2 〜染色体異常に対する出生前診断〜
2022.5.22
この項では、染色体異常に関する出生前診断について書きたいと思います。
染色体異常の代表的な疾患は、21トリソミー(ダウン症候群)です。
ヒトには22本の常染色体が2本ずつと性染色体が2本あります。
21トリソミーという疾患は受精卵を作るときに生じるミスで、21番染色体が通常2本のところ、3本になることでなります。
もちろん、ほかの番号の染色体も3本になるリスクがありますが、その場合は産まれてくるまで育てず、ほとんどが流産となります。
染色体異常の出生前診断は大きく2つに分かれます。
それは、確定的検査と非確定的検査です。
・確定的検査というのは、その疾患があるのかないのか、文字通り診断する検査です。
・非確定的検査というのは、その疾患にかかっている可能性が高いのか低いのかをみる検査であり、診断することはできません。
確定的検査には、羊水検査、絨毛検査があります。これらの検査はお母さんのお腹に針を刺して、胎児細胞をとってきて検査を行います。羊水あるいは絨毛(胎盤になる部分)に針を刺すので、破水や流産を引き起こす危険性があります。流産となるリスクは一般的に羊水検査で約1/300、絨毛検査で約1/100と言われています。
非確定的検査には、初期超音波スクリーニング(NT測定)、NIPTなどがあります。これらの検査は、超音波や母体の血液を採取することで検査を行うため、検査による流産などのリスクはありません。
一般的に、最初から確定的検査を行うことにはリスクがあるため、非確定的検査を先に行い、リスクが高いと判断された場合に、確定的検査を行うという流れが多くなります。
詳しくは診察の際にご質問ください。